2026.08.31

事務所併設の木造倉庫を計画するには?働きやすさと物流効率を両立する設計ポイント

倉庫の新築を機に、「事務所も同じ建物へまとめたい」というご相談があります。管理部門と物流現場の距離が近くなる一方、倉庫と事務所では必要な環境が大きく異なります。

倉庫は搬出入、大開口、床荷重が中心です。事務所は断熱、採光、静かさ、空調、来客対応が重視されます。この違いを整理せずに一体化すると、事務室へ騒音や冷気が入り、現場動線と来客動線が交差する建物になりかねません。

この記事では、富山県で事務所併設型の木造倉庫を検討する企業様へ、2×4工法を活用しながら物流効率と働きやすさを両立する考え方を解説します。


事務所を併設する3つのメリット

現場との連携が速くなる

在庫確認、入出庫の変更、配送トラブルなどをすぐ共有できます。管理者が現場を把握しやすく、移動時間も減らせます。

建物と設備を集約できる

別棟にする場合と比べ、受付、会議室、休憩室、駐車場、通信設備などをまとめやすくなります。ただし、集約すれば必ず安くなるわけではなく、用途区画や消防設備を含めた比較が必要です。

採用・来客時の印象を整えられる

倉庫を単なる保管場所ではなく、企業の拠点として計画できます。木を感じられる受付や会議室は、来客や求職者へ企業姿勢を伝える空間になります。


ポイント1|4つの動線を分ける

計画時には、次の動線を別々に描きます。

  • 大型トラック
  • フォークリフト
  • 従業員
  • 来客

トラックの旋回範囲を横切らずに事務所玄関へ到達できるか、従業員が倉庫から休憩室へ安全に移動できるかを確認します。事務所を道路側、倉庫を敷地奥に置く配置が一般的ですが、敷地形状や出入口によって最適解は変わります。

富山では冬季に除雪で通路が狭くなるため、雪置き場を確保した状態で動線を検討することも欠かせません。


ポイント2|音・温度・空気を区切る

倉庫のシャッターが開くたびに、外気、排気ガス、粉じん、騒音が入ります。事務所との間には、単なる扉一枚ではなく、必要に応じて前室や廊下を設けます。

課題 主な対策
フォークリフトの音 配置距離、壁仕様、前室
冬の冷気 断熱区画、建具、風除室
排気・におい 給排気位置、室圧、区画
粉じん 前室、清掃性、換気
振動 設備配置、専用基礎、防振

2×4工法は壁・床・屋根を面で構成するため、事務所部分の断熱層を連続させやすい特徴があります。倉庫全体を同じ温度に保つのではなく、人が長時間過ごす部分を重点的に整えると、設備容量と運用コストを抑えやすくなります。


ポイント3|事務所から倉庫を「見える化」する

事務所から倉庫の様子が分かると、入出庫や安全管理がしやすくなります。窓やモニターを活用し、管理者が現場へ出なくても状況を確認できるようにします。

ただし、窓を増やせば防火、断熱、眩しさ、ラックとの干渉に影響します。視認性が必要な場所を絞り、カメラと組み合わせる方法も有効です。


ポイント4|来客エリアと現場エリアを切り替える

受付、応接室、会議室を道路側へ配置し、倉庫を通らずに案内できるようにします。商品確認や工場見学がある場合は、来客用の安全な見学動線を用意します。

木造の受付や会議室では、木質トラスや木部を意匠として見せることもできます。一方、倉庫や衛生管理が必要な場所は、清掃性や耐久性を優先します。木を見せる場所と、保護する場所を使い分けることが実務的です。


ポイント5|休憩室・更衣室を後回しにしない

物流施設では、事務机の数だけで面積を決めると、休憩、着替え、手洗い、乾燥スペースが不足しがちです。富山の冬は濡れた防寒着や靴への配慮も必要です。

  • 男女別更衣室の必要性
  • 夜勤・交代勤務の人数
  • 食事と休憩の方法
  • 作業着と私服の分離
  • 長靴や雨具の乾燥場所
  • シャワーの必要性

採用や定着を考えると、従業員環境は余った場所に押し込むのではなく、初期計画に含めるべき機能です。


ポイント6|将来の人員と在庫の増加を分けて考える

倉庫面積は足りていても、事務所だけ手狭になることがあります。反対に、管理人数は変わらず在庫だけ増える会社もあります。

将来の増築方向、会議室の転用、可動間仕切り、通信・電源の予備を検討してください。事務所と倉庫を一体化しても、それぞれが別の速度で成長する前提を持つことが大切です。


2025年以降の省エネ基準も早めに確認

2025年4月以降に着工する新築住宅・非住宅は、原則として省エネ基準への適合が義務付けられています。事務所併設倉庫では、倉庫の使い方や空調の有無によって評価範囲の整理が必要です。

制度の詳細は国土交通省「省エネ基準適合義務の対象拡大」をご確認ください。実際の適用は設計者や審査機関へ個別に確認します。


よくあるご質問

Q. 倉庫は平屋、事務所だけ2階にできますか?

A. 検討できます。2階事務所から倉庫を見渡せる配置も可能です。避難経路、構造、防火区画、搬出入との干渉を含めて計画します。

Q. 倉庫部分に空調がなくても、事務所だけ快適にできますか?

A. 事務所を断熱・気密上の区画として計画し、倉庫からの外気や熱の流入を抑えます。前室や建具、換気計画が重要です。

Q. 木造でセキュリティは確保できますか?

A. 構造にかかわらず、開口部、防犯設備、入退室管理、監視カメラを組み合わせて計画します。来客と物流の出入口を分けることも有効です。


まとめ|一体化の効果は「近さ」と「分け方」で決まる

事務所併設型の木造倉庫では、現場と管理部門を近づけながら、次の要素を適切に分けることが重要です。

  • トラック、フォークリフト、人、来客の動線
  • 音、温度、空気
  • 来客エリアと作業エリア
  • 倉庫の拡張と事務所の拡張

大規模木造Eight Labo(石坂建設)では、倉庫の保管能力だけでなく、事務所、休憩室、外構を含めた事業拠点全体を計画します。敷地と必要面積が固まる前でもご相談ください。

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