2026.08.03

【2026年度版】富山県で大規模木造建築に使える補助金・助成金・税制優遇まとめ|倉庫・施設のコストを下げる制度活用ガイド

「木造で建てたほうが安いのはわかった。でも、そこからさらに使える制度はないの?」

倉庫や介護施設、店舗の新築をご検討中のお客様から、最近もっとも多くいただくのがこのご質問です。

実は、大規模木造建築は「補助金・助成金」と「税制優遇」の両方が使える、数少ない建て方です。
国は2050年カーボンニュートラルに向けて中大規模木造建築の普及を政策として後押ししており、富山県も県産材の利用促進に独自の助成制度を設けています。さらに木造は法定耐用年数が短く、減価償却による節税メリットも鉄骨造より大きくなります。

つまり、木造を選ぶだけで、

  1. 初期費用そのものを下げられる可能性(補助金・助成金)
  2. 建てた後の税負担を軽くできる(減価償却・税制)

という二段構えのコストメリットが狙えるということです。

この記事では、富山市・高岡市・射水市・砺波市など富山県全域で大規模木造を手がける視点から、2026年度(令和8年度)時点で押さえておきたい制度と、その活用の考え方を整理してお伝えします。

※補助金・助成金・税制は年度ごとに内容や予算枠が変わります。本記事は制度の全体像をつかんでいただくためのガイドです。実際の申請可否・金額は必ず各窓口および顧問税理士さんにご確認ください。


まず押さえたい:制度は「3つの階層」で探す

大規模木造で使える制度は、探し方さえわかればそれほど複雑ではありません。国・県・市町村の3階層で見ていくのが基本です。

階層 主な目的 代表例
国(国土交通省・林野庁) 中大規模木造の普及、CO2固定、技術の先導 優良木造建築物等整備推進事業、建築用木材供給・利用強化対策
県(富山県) 県産材の利用拡大、地域林業の振興 木の香るとやまの街づくり事業
市町村 地元産業の支援、まちづくり 各市の産業立地助成、企業立地補助 など

さらにこれと別枠で、税制優遇(減価償却・固定資産税・各種投資減税)があります。

重要なのは、これらは併用できるケースがあるということです。
「県の助成金を使ったから国の制度は使えない」と思い込んで、取れるはずの支援を逃してしまうケースは少なくありません。逆に、同一経費への二重の補助は認められないのが原則なので、どの費用にどの制度を当てるかの整理が必要になります。


① 富山県の制度|「木の香るとやまの街づくり事業」

富山県で大規模木造を建てるなら、まず確認すべきなのがこの制度です。

県民が広く利用する施設の木造化・内装木質化に県産材を使う場合、その経費の一部が助成されます。

この制度のポイント

  • 民間施設も対象になる:令和4年度から、不特定多数の方が利用するPR効果の高い民間施設も補助対象に加わりました
  • 内装木質化の補助上限は200万円(従来の100万円から引き上げられています)
  • 県産材遊具の導入も対象に含まれます
  • ただし、居住スペース・事務スペース等は対象外という線引きがあります

富山県だからこそ効いてくる理由

富山県は全国でも有数の森林県で、立山連峰のふもとに広がる豊かな山林からスギ・ヒノキといった良質な木材が産出されます。

「県産材を使うこと」が要件になる制度は、一見すると材料の選択肢を狭めるように思えるかもしれません。しかし富山県の場合、そもそも地元に使える木材があるため、要件を満たしながら輸送コストも抑えられるという好条件が揃っています。

  • 県外から運ぶより輸送コストを抑えられる
  • 地域経済への貢献(北日本新聞・富山新聞などでの取材機会、自治体PRへの活用)
  • 「とやまの木で建てた施設」というブランディング効果

申請窓口:富山県農林水産部 森林政策課 木材利用推進係(TEL:076-444-3388)

※募集は年度単位で行われ、予算枠に達し次第受付終了となるのが一般的です。着工スケジュールから逆算した早めの相談が重要になります。


② 国の制度|「優良木造建築物等整備推進事業」(国土交通省)

国レベルでもっとも規模の大きい支援が、この優良木造建築物等整備推進事業です。

かつての「サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」は新規提案の募集を終了しており、現在の中大規模木造向けの主軸はこちらに移っています。

事業の目的

2050年カーボンニュートラルの実現に向け、炭素貯蔵効果が期待できる中大規模木造建築物の普及に資するプロジェクト、および木造化に係る先導的な設計・施工技術が導入されるプロジェクトを支援する

つまり、「木造でCO2を固定する建物を増やす」という国の政策方針そのものに、予算がついている制度です。

対象となる用途

非住宅の幅広い用途が対象に含まれます。

  • 病院・診療所、児童福祉施設などの医療・福祉系
  • 学校、図書館、美術館などの公共・文化系
  • 物販店舗、百貨店、展示場などの商業系
  • 事務所、ホテル、劇場、集会場 など

2026年度(令和8年度)のスケジュール感

項目 時期
第1回 募集期間 令和8年4月15日 〜 5月26日
採択(普及枠) 令和8年7月中旬頃
採択(先導枠) 令和8年8月中旬頃

注目していただきたいのは「募集期間の短さ」です。
公募開始から締切までおよそ6週間。この間に事業計画・設計内容・木材使用量の根拠などを揃えて申請する必要があります。

思い立ってから準備を始めたのでは、まず間に合いません。
「来年度に建てたい」という段階から設計事務所・施工会社と組んで、公募開始に照準を合わせて動くことが前提の制度だとお考えください。


③ 国の制度|林野庁「建築用木材供給・利用強化対策」

もうひとつ、林野庁側の支援も押さえておきましょう。

こちらは民間非住宅分野での国産材利用拡大を狙った施策で、主に以下の3本柱で構成されています。

1. 一般流通材の高度利用やCLT等の活用による木造化技術の開発・普及
地方の低層中大規模建築物の木造化に向けて、一般に流通するJAS構造材等を活用した合理的な部材・設計施工手法の開発を支援するもの。CLT等を使った建築物の低コスト化モデル開発も含まれます。

2. 設計・建築実証
一般流通材等を活用した工法による低層中大規模建築物の設計・建築実証、標準寸法のCLTを活用した建築物の設計・建築実証への支援。

3. 木造建築物の設計者・施工者の育成
先駆的な知見を持つ設計者・施工者の育成、地域の設計者・施工者の拡大に向けた講習会等への支援。

2×4工法との相性

ここで注目したいのが、「一般に流通するJAS構造材の活用」という国の方向性です。

私たちが採用している2×4工法(ツーバイフォー)は、まさに規格の決まった流通材を組み合わせて建てる工法です。特殊な集成材を特注する必要がないため、

  • 材料の調達がしやすく、価格の見通しが立てやすい
  • 「合理的な部材・工法」という国の政策方向と一致している
  • 工期が短く、事業計画上のリスクが小さい

という特徴があります。国が推進したい方向性と、実際に建てやすい工法が一致しているというのは、事業計画を組むうえで見逃せないポイントです。


④ 税制優遇|補助金より確実に効いてくる「減価償却」

補助金は採択されるかどうかが読めませんが、税制優遇は要件を満たせば確実に効きます。
そして大規模木造の場合、この効果が非常に大きくなります。

法定耐用年数の違いが、そのまま節税額の違いになる

構造 倉庫の法定耐用年数
木造(2×4工法を含む) 15年
軽量鉄骨造 19〜27年
重量鉄骨造 31年
鉄筋コンクリート造 38年

使用年数が短いほど、1年あたりに経費として計上できる減価償却費が大きくなります。

同じ金額の建物でも、木造は重量鉄骨造の約2倍のスピードで経費化できる計算です。利益が出ている企業様にとっては、これがそのまま法人税の負担軽減につながります。

「補助金は取れたらラッキー、減価償却は必ず効く」——コスト検討の順番としては、まず税制メリットを織り込んだうえで、補助金は上振れ要素として考えるのが現実的です。

(※詳しくは「木造倉庫と鉄骨倉庫のコスト比較」の記事でシミュレーションしています)

建物附属設備にも目を向ける

建物本体だけでなく、空調・電気・給排水などの建物附属設備についても、設備投資系の優遇税制の対象になる場合があります。
倉庫であっても、荷役設備や省エネ機器を同時に導入するのであれば検討の余地があります。このあたりは要件が細かいため、必ず顧問の税理士さんにご相談ください。


⑤ 市町村独自の制度も忘れずに

意外と見落とされがちなのが、市町村レベルの助成制度です。

富山県内でも、富山市・高岡市・射水市・砺波市・南砺市など、自治体ごとに独自の支援メニューが用意されています。代表的なものとしては、

  • 企業立地助成・産業立地補助:一定規模以上の投資や雇用創出を伴う施設整備への助成
  • 地域産材の利用促進補助:市町村単位での木材利用支援
  • 創業・事業拡大支援:業種や事業内容に応じた補助

といったものがあります。

特に、富山インター・砺波インター周辺の物流拠点、伏木富山港エリアの倉庫地帯、高岡テクノドーム周辺の産業集積地などで計画されている場合は、立地に紐づいた支援が用意されていることがあります。

内容は年度によって変わり、予算枠も限られています。計画地が決まった段階で、その市町村の産業振興担当窓口に一度当たっておくことを強くおすすめします。


制度を「取りにいく」ための3つの鉄則

ここまで制度をご紹介してきましたが、実務上もっとも大事なのは「いつ動くか」です。

鉄則1|着工の1年前から動く

多くの補助金は、着工前・契約前の申請が必須です。
「もう工事を始めてしまった」「契約を済ませてしまった」という段階では、原則として対象外になります。

国の優良木造建築物等整備推進事業のように、公募が年に数回、期間も1〜2か月というケースが一般的です。事業計画の検討段階から補助金を視野に入れておくのが唯一の正解です。

鉄則2|「補助金ありき」で計画を歪めない

制度に合わせるために、本来必要のない仕様を追加してしまっては本末転倒です。

補助金はあくまで「やろうとしていたことの後押し」
まずは事業として成立する計画を組み、そのうえで「この計画なら、どの制度に乗せられるか」を考える順番を守ってください。

鉄則3|設計・施工と一体で相談する

補助金の申請書類には、木材使用量の算定、県産材の証明、設計図書、CO2固定量の根拠などが求められます。
これは施主様だけで揃えられるものではありません。

設計から施工までワンストップで対応できる会社と組むことが、そのまま採択率と事務負担の差になります。


よくあるご質問

Q. 補助金は必ずもらえるものですか?

A. いいえ、多くは審査・採択を経る競争型の制度です。
予算枠に達した時点で受付終了となるものや、提案内容を評価して採択を決めるものがあります。
そのため、「補助金が取れなくても成立する事業計画」を前提に組み立てておくことが鉄則です。取れれば上振れ、取れなくても計画は動く——この形が理想です。

Q. 補助金と税制優遇は併用できますか?

A. 制度が異なるため、併用できるケースは多くあります。
ただし、補助金を受け取った場合、その分だけ取得価額から差し引いて減価償却を計算する(圧縮記帳など)といった会計処理が必要になることがあります。
併用の可否と処理方法は、必ず顧問税理士さんにご確認ください。

Q. 倉庫でも補助金の対象になりますか?

A. 制度によります。
「県民が広く利用する施設」を要件とする制度では、不特定多数の方が出入りしない純粋な保管倉庫は対象外となる場合があります。
一方で、事務所や店舗機能を併設した複合施設、物流拠点として雇用を生む施設であれば、市町村の企業立地助成などの対象になり得ます。
「倉庫だから無理」と決めつけず、建物の用途構成から一緒に整理するのが得策です。

Q. 申請の手続きは大変ですか?

A. 正直に申し上げて、書類の量は少なくありません。
ただし、木材使用量や設計図書といった中身の部分は施工会社側で作成できます。施主様にご用意いただくのは、会社情報・事業計画・資金計画といった部分が中心です。
「どこまでを施工会社が巻き取れるか」を最初に確認しておくと、社内の負担の見通しが立ちやすくなります。


まとめ:制度は「知っているかどうか」で数百万円変わる

大規模木造建築で使える支援は、大きく次の4系統です。

  • 富山県:木の香るとやまの街づくり事業(県産材の木造化・内装木質化、内装は上限200万円)
  • 国土交通省:優良木造建築物等整備推進事業(中大規模木造の普及・先導プロジェクト)
  • 林野庁:建築用木材供給・利用強化対策(JAS構造材・CLT活用、設計建築実証)
  • 税制:木造15年という短い法定耐用年数による減価償却メリット

そしてこれらに、市町村独自の企業立地助成が加わります。

いずれも共通しているのは、「着工前に動いた人だけが使える」ということ。
建ててしまってから「あの制度、使えたのに」と気づくケースが本当に多いのです。

大規模木造Eight Labo(石坂建設) では、富山市・高岡市・射水市・砺波市・小矢部市・南砺市など富山県全域で、2×4工法による倉庫・介護福祉施設・クリニック・店舗・事務所の設計から施工まで一貫してサポートしています。

補助金・助成金の情報収集や申請に必要な図書の作成についても、計画段階からご相談いただけます。
「うちの計画で使える制度はあるのか?」——その一言からで構いません。お気軽にお問い合わせください。

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